2010年5月17日月曜日

取引口座の開設

2002年9月xx日
 取引口座の開設とは銀行に口座を開設することではなく、企業間の取引を行うための手続きです。一般に大企業が中小・零細企業と取引する際に、取引相手が信用できるかどうかを審査し、継続的な取引をするに値すると判断されると取引先として登録され「取引口座が開設された」状態になります。具体的には、大企業が中小・零細企業に商品を販売した際に売掛金が回収出来るか?中小・零細企業から商品を継続して購入出来るか?などを経理部や調達部などの調査担当者が判断します。そのために、下記の資料を要求される場合が多いでしょう。

・登記簿謄本(3ヶ月以内に発行されたもの)
・印鑑証明書(3ヶ月以内に発行されたもの)
・直近3年分の決算書
・取引先実績

 ここで直近3年分の決算書とありますが、これは最低でも3期は事業を継続しない限り用意できるものではありません。つまり、これは設立されたばかりの会社は信用がないことを意味します。当たり前といえば当たり前なのですが、私のような経営経験のない全くの素人が会社を作る場合を考えれば理由は明らかでしょう。しかしながら、大企業の社長といえども生まれながらにして経営経験を持っている人はこの世にはいません。名経営者と呼ばれる人たちですら最初はゼロからのスタートでしたので、これから起業される方も尻込みする必要は全くありません。そういう意味では、大学のサークルで経理をやっていたとか、アルバイトで店長をやっていたという経験があれば役に立つでしょう。
 上記は大企業側からの視点ですが、企業間ですからもちろんその逆もあります。零細企業が中小企業に対し、または中小企業が大企業に対し、信用(与信情報といいます)を要求する場合もあります。特に、零細・中小企業は潤沢なキャッシュ(現金)があるわけではなく、銀行から借り入れながら自転車操業をしている会社も多いでしょう。そんな状態で売掛金が回収できなくなれば、黒字なのに倒産してしまいます。よって、取引の前に売掛金が回収できるかどうかを判断するために、取引相手の決算情報などを要求することもあります。私も実際に以前の会社でこのような判断を迫られたこともあります。そのときの取引の検討相手は大手電機メーカーの系列企業だったのですが、新聞などで債務超過に陥っているであろうことが報道されており、売掛金を回収出来る保証がありませんでしたので大手電機メーカーの系列といえども結局取引することはありませんでした。
 ちなみに、このような与信情報を調査して提供するサービスを提供しているのが、帝国データバンクなどの民間調査会社です。大企業の中には帝国データバンクの企業コードを取得していなければ取引口座を開設しない企業もあります。つまり、審査の手間を省くために帝国データバンクの与信情報を使用しています。
 弊社の企業コードは、989809309です。また、開示情報は、こちらです。
 通常は何年もかかって信用を獲得してようやく証券取引所に上場しているような大企業と取引できるようになるのですが、弊社の場合は最初の顧客が上場大企業ですから幸運でした。これも以前の会社でそのお客様と信頼関係を築いていたからこそでしょう。もし、信頼関係がなかったら書類審査で落とされていたことに違いありません。
 数日後、発注書が郵送されてきました。

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