2012年3月1日木曜日

会社の会計について

本日は、会社の会計について簡単に紹介します。

 日本の会社法第432条には、次のように定められています。

第432条
株式会社は、法務省令で定めるところにより、適時に、正確な会計帳簿を作成しなければならない。
株式会社は、会計帳簿の閉鎖の時から十年間、その会計帳簿及びその事業に関する重要な資料を保存しなければならない。

 米国法人の日本支店といえども日本でビジネスを行う場合は、当たり前ですが、日本の法律にも従わなければいけません。よって、適時に正確な会計帳簿を作成しなければいけません。
 それでは、具体的にどうすればよいのでしょうか?
 ずばり、下記に示す社長の金銭感覚に対応によって選択肢が異なります。

・ケチな人
・毎月、少ない小遣いをやりくりできている人
・収入を適切に配分し、計画的に消費している人
・浪費癖はないが、気が付くと所持金がなくなっている人
・浪費癖のある人

 上の3つのタイプの場合、普段からお小遣い帳をつけている方かと思いますので、会社の会計であっても基本的に問題ないでしょう。もちろん、少し簿記について勉強する必要はありますが、Excelや市販の会計ソフト(弥生会計をお薦めします。)を使用すれば、自分で帳簿をつけることができるでしょう。

・弥生シリーズ
 http://www.yayoi-kk.co.jp/

 設立したばかりの頃はお金の出入り(特に入金)も少ないはずですから、挑戦しましょう。ここで、会計処理を自分の手で体験することにより後の経営感覚が身についてきます。弊社の場合は、初年度の確定申告まですべて一人で行い、2年目の途中から税理士さんに指導していただくようになりました。

 問題は下の2つのタイプの場合です。このタイプは自分の可処分所得のコントロールすらおぼつかない状態ですから、会社の会計もきちんとできるか不安です。しかし、その性格から資本金には余裕を持っているはずですから、最初から税理士さんにお願い(顧問契約)して指導していただくのも良いかもしれません。

 気になる税理士さんとの顧問契約ですが、何をお願いするかにもよりますが、だいたい毎月数万円から10万円の顧問料になります。弊社の場合は、弥生会計で行っておりますので、毎月数万円の顧問料をお支払しております。

 ちなみに、弥生会計を使用している税理士さんであれば、電子帳簿のデータそのものを電子メールでやり取りできるので便利かもしれません。弊社の場合は、テレビのCMでおなじみのTKC全国会に所属している税理士さんですので、毎月紙やPDFで帳簿データをお渡しし、TKCの会計システムに入力し直していただいております。TKCについては、TKCグループのホームページをご参照ください。

・TKCグループ
 http://www.tkc.jp/

 次回は、帳簿の記述方法である商業簿記について紹介したいと思います。

2012年2月25日土曜日

社会保険の加入手続き

2002年9月9日
 話は前後しますが、社会保険について書き忘れていました。

 法人の事業所が一人でも従業員を雇用する場合は、社会保険(雇用・労災保険、健康保険、厚生年金保険)のすべてに加入する義務が生じます。弊社の場合は、9月9日に法務局に支店設立が認められ、登記簿謄本が取れるようになったので、すぐに手続きを行いました。数年前、年金未加入問題が大きなニュースになりましたが、従業員を雇用する法人の事業所は社会保険に加入する義務がありますので、普通は加入します。(最近は、未加入事業所の問題がニュースで話題になっていますが・・・。)

 雇用保険は管轄のハローワーク、労災保険は管轄の労働基準監督署、健康保険・厚生年金は管轄の社会保険事務所に行って加入申請します。弊社は神奈川県横浜市港北区に日本支店を登記しましたので、いずれも新横浜にあるハローワークと横浜北労働基準監督署と港北社会保険事務所に行きました。

 雇用保険の手続きは、ハローワークにて
・適用事業所設置届
・被保険者資格取得届
をその場で書いて提出します。

 労災保険の手続きは、労働基準監督署にて
・保険関係成立届
・概算・増加概算・確定保険料申告書
をその場で書いて提出します。
 なお、労働基準監督署はその名の通り、休憩時間が厳格に定められ、その通りに運用されていますので、昼休み中(12:00~13:00)に行くと13:00まで待たされる羽目になります。

 健康保険・厚生年金保険の手続きは、社会保険事務所にて
・健康保険・厚生年金保険 新規適用届
をその場で書いて提出します。
 いずれの書類も初めての場合、何を書くのかわからない箇所ばかりのはずですが、とても親切に教えてくれますので、素直に聞きましょう。このご時世ですので役所はどこも親切かと思います。
 また、このような大切な手続きを行う際には、登記簿謄本、印鑑証明、実印を忘れずに持参しましょう。

 上記の面倒な手続きは、社会保険労務士の方に依頼することもできますが、社会保険労務士の方々も仕事ですので当然ながら依頼すると数万円の費用が掛かります。最初は仕事もなく時間があるはずですから、自分でやってみましょう。最初に仕組みを理解しておくと後が楽になります。もし、最初から人に依頼してしまうと、その後の簡単な手続きさえ自分で行うことができず、毎回、依頼しなければならなくなり、そのたびに費用が掛かります。わずかな費用ですが、ちりも積もれば山となります。
 自分で手続きを行うかどうかの目安ですが、社員が10人未満であれば、自分でやったほうが、早くて安くて確実です。ということで、現在の弊社の正社員数は10人未満ですので、未だに私が行っています。もちろん、他人ができることは他人に任せて、社長はわずかな時間でも節約して本業に集中せよという経営本もありますが、コスト意識をもつことは経営には必須ですので、時間とのトレードオフを考えながら判断していただきたいと思います。

 ここで社会保険の仕組みについて書くこともできますが、いろいろなホームページで詳しく書かれていますので、ここでは割愛したいと思います。興味のある方は検索してみてください。
 ちなみに、今週、ニュースで話題になった企業年金(年金基金)については、弊社は加入しておりません。

 その他にも書き忘れていることが多々ありますので、順次書いていきたいと思います。
・会計処理について
・創立費用の扱いについて
・給与支払処理
などなど。

2010年10月18日月曜日

ハワイ出張


2002年9月xx日
 順調なスタートを切ったものの米国本社の銀行口座の開設がまだでしたので、日本での仕事は社員に任せてハワイに出張に行きました。
ホノルル空港に到着後ワイキキに移動し、法人設立を手伝っていただいたDigital Point, Inc.の方と合流後、付き添っていただきハワイ州では有名なFirst Hawaiian BankのWaikiki Branch(ワイキキ支店)を訪問しました。ハワイは日本人が多いせいか、First Hawaiian Bankでは日本人の方が応対してくださり、日本語で法人口座の開設を行っていただきました。
 ここでの必要書類は以下のとおりでした。(現在は変更されているかもしれませんので必ずご自身でご確認をお願いします。)

・Certificate of Good Standing(設立証明書[会社存在証明書])
 「こういう会社は確かに存在しています」というハワイ州発行の証明書。
・Statement of Business operation(業務方法書)
 その名の通り、営業所の場所などが記述されています。
・Articles of Incorporation(基本定款)
 その名の通り、定款です。
・Bylaws(付随定款)
 細かな内容は、こちらの付随定款のほうに記述されます。
・現金またはトラベラーズチェック
 資本金に設定した額。資本金が1,000米ドルであれば、1,000米ドルです。なお、銀行ですので日本円でも受け付けてもらえます。両替のプロセスに若干時間がかかりますが気になるほどではありません。

 通常は、これらの書類は、登記時にまとめてファイリングされますので、実際は登記時に使用した書類一式がファイリングされたファイルを持参するだけで良いです。

 あとは、当然ながら印鑑は通用しない世界ですから、サインが必要になります。英文でも日本語でも良いですが、出来れば英文で出来るように練習を積んでおいたほうが良いです。私の場合は、外資系に勤務していたため雇用契約などで何度も英文でサインをしていたのが役に立ちました。
 ちなみに、漢字を見たことのない人たちに漢字でのサインを見せると「何この記号?これサイン?変わってるね。」と言われることもありました。

ということで、その他必要な手続きを済ませた後、少し観光してから帰国しました。

2010年8月13日金曜日

営業活動2

2002年9月xx日
 初めて受注した仕事は社員に任せましたので、人脈を利用して私の仕事を探す営業活動を行いました。当時はちょうどデジタル家電の開発が始まった時期でもあり、組込みLinuxという技術が注目されていました。しかしながら、まだ新しい技術であったために経験のある人材が不足していました。そのような時代背景もあり、幸運にもすぐに仕事が見つかりました。
 そのお客様は当時は非上場企業でしたので、面倒な手続きも少なくすぐに正式受注に至り、まもなく業務も始まりました。こうして2名のエンジニアリングリソースが埋まり、順調なスタートを切ることができました。

2010年5月24日月曜日

人材採用

2002年9月xx日
 初めての営業活動を行っていたちょうどその頃、以前の会社の元同僚が仕事を探していることを知りました。試しに新会社に誘ってみたところ、仲の良かった元同僚ということもありすんなりと話がまとまりました。(一般的に新会社がこのように人材を集めることは難しいでしょう。)
 ここで、また問題です。営業が初めてならば、人を雇うのも初めてです。どうしたら良いのかさっぱりわかりませんでしたが、さすがに人材採用についてはハウツー本が山ほど出版されており、それらを購入して活用することにしました。具体的には、下記のことを行いました。
・給料の決定
・従業員との雇用契約書の締結
・就業規則・給与規定の策定
・健康保険、厚生年金保険の加入手続き(社会保険事務所)
・雇用保険・労働保険の加入手続き(労働基準監督署)
・住民税の代理徴収と納付
 だいたいの手続きはハウツー本に書いてありますが、なかでも一番難しいのは給料の金額でした。なんといっても外資系企業相当の給料は逆立ちしても出せません。もちろん、元同僚も資本金1,000米ドルの会社がたくさん給料を払えるわけではないことを十分に承知していましたので、たいへんありがたいことに破格の給料で創業期を手伝ってもらえることになりました。
 ちなみに、その元同僚の自己紹介はこちらです。
 彼には、受注した仕事を任せてみることにし、私はまた別の仕事を探すことにしました。

2010年5月17日月曜日

取引口座の開設

2002年9月xx日
 取引口座の開設とは銀行に口座を開設することではなく、企業間の取引を行うための手続きです。一般に大企業が中小・零細企業と取引する際に、取引相手が信用できるかどうかを審査し、継続的な取引をするに値すると判断されると取引先として登録され「取引口座が開設された」状態になります。具体的には、大企業が中小・零細企業に商品を販売した際に売掛金が回収出来るか?中小・零細企業から商品を継続して購入出来るか?などを経理部や調達部などの調査担当者が判断します。そのために、下記の資料を要求される場合が多いでしょう。

・登記簿謄本(3ヶ月以内に発行されたもの)
・印鑑証明書(3ヶ月以内に発行されたもの)
・直近3年分の決算書
・取引先実績

 ここで直近3年分の決算書とありますが、これは最低でも3期は事業を継続しない限り用意できるものではありません。つまり、これは設立されたばかりの会社は信用がないことを意味します。当たり前といえば当たり前なのですが、私のような経営経験のない全くの素人が会社を作る場合を考えれば理由は明らかでしょう。しかしながら、大企業の社長といえども生まれながらにして経営経験を持っている人はこの世にはいません。名経営者と呼ばれる人たちですら最初はゼロからのスタートでしたので、これから起業される方も尻込みする必要は全くありません。そういう意味では、大学のサークルで経理をやっていたとか、アルバイトで店長をやっていたという経験があれば役に立つでしょう。
 上記は大企業側からの視点ですが、企業間ですからもちろんその逆もあります。零細企業が中小企業に対し、または中小企業が大企業に対し、信用(与信情報といいます)を要求する場合もあります。特に、零細・中小企業は潤沢なキャッシュ(現金)があるわけではなく、銀行から借り入れながら自転車操業をしている会社も多いでしょう。そんな状態で売掛金が回収できなくなれば、黒字なのに倒産してしまいます。よって、取引の前に売掛金が回収できるかどうかを判断するために、取引相手の決算情報などを要求することもあります。私も実際に以前の会社でこのような判断を迫られたこともあります。そのときの取引の検討相手は大手電機メーカーの系列企業だったのですが、新聞などで債務超過に陥っているであろうことが報道されており、売掛金を回収出来る保証がありませんでしたので大手電機メーカーの系列といえども結局取引することはありませんでした。
 ちなみに、このような与信情報を調査して提供するサービスを提供しているのが、帝国データバンクなどの民間調査会社です。大企業の中には帝国データバンクの企業コードを取得していなければ取引口座を開設しない企業もあります。つまり、審査の手間を省くために帝国データバンクの与信情報を使用しています。
 弊社の企業コードは、989809309です。また、開示情報は、こちらです。
 通常は何年もかかって信用を獲得してようやく証券取引所に上場しているような大企業と取引できるようになるのですが、弊社の場合は最初の顧客が上場大企業ですから幸運でした。これも以前の会社でそのお客様と信頼関係を築いていたからこそでしょう。もし、信頼関係がなかったら書類審査で落とされていたことに違いありません。
 数日後、発注書が郵送されてきました。

2010年5月15日土曜日

営業活動

またまた長期休暇をいただいてしまい、申し訳ありません。

2002年9月xx日
 さて、ようやく事業がスタートした次第ですが、一人ではやったこともなかった営業活動をしなければいけません。素人に営業活動が務まるのか?これは起業する人が皆抱える悩みかと思います。人は誰もが営業のスキルをもって生まれてくるわけではありません。という私も高校時代に高いラーメンの訪問販売のアルバイトをしたり(1日でやめましたが)、年末の鮮魚店で1週間ほど販売員をした程度です。
 しかし、ここで以前の会社での経験が役に立ちました。以前の会社では私は「フィールドアプリケーションエンジニア」という営業部所属の技術者だったからです。つまり、ときにはセールスマネージャあるいは本社のCEOに同行して営業活動を技術的に支援することが私の仕事だったからです。この活動により、営業の作法やノウハウを学ぶことができました。技術者ですから営業活動にはあまり興味はなかったのですが、やはり何度も何度も繰り返し同行していると自然に覚えてしまいます。ということで、見よう見まねで新会社での営業活動を始めました。
 また、幸運なこともありました。それは以前の会社を退職してからは、お世話になったお客様にあいさつ回りをしていたことです。つまり、この活動が実質的な営業活動になっていたわけです。そこで、「次は何をするの?」「小さな仕事だけど頼めない?」「人手不足だから手伝ってくれない?」というようなお話をいただいていました。
 まずは、そのなかの一社(大企業)と電子メールで話を進めましたが、見積書の書き方がわかりません。一昔前であれば、書店や図書館で調べたり、人にきいたりするところでしょうが、すでにネットの時代でしたので、検索してフリーの見積書作成ツールをダウンロードして使うことにしました。ここまでは、順調に進んだのですが、次に口座の開設が必要であると言われました。口座なら都市銀行に開設済みですが・・・その口座ではない?どういうものですか?営業の素人丸出しです。
 こんな状態で仕事を受注することができるのでしょうか?